古代から現代に伝わっている神話というものがあります。
月が太陽を隠す「日食」の原因が分からなかった古代では、神話などによって様々に説明されてきました。
ここでは、日本神話での「日食」にまつわる神話をお伝えします。
姉弟のケンカで日食が起こった??
天照大神(アマテラスオオミカミ)は太陽をつかさどる女神として、世界を明るく照らしながら、多くの神々が住んでいる天上の世界「高天原」を治めていました。
あるとき高天原にスサノオノミコトという神様がやってきました。
この神様はアマテラスオオミカミの弟なのですが、手が付けられないほどの乱暴者であり、案の定、神々が静かに暮らしていた高天原で好き勝手に暴れまわし、みんなに迷惑をかけていました。
アマテラスオオミカミも始めは弟をかばっていましたが、あまりの暴れっぷりに怒りがこみ上げ、何を言っても聞かないスサノオノミコトに愛想をつかし、天の岩屋の中に引きこもってしまいました。
太陽の女神が姿を隠した事で、天上も地上も闇に閉ざされることになってしまいます。
特に地上では暗闇なのをよいことに、悪い神々の動きが活発になり、多くのわざわいが起こりました。
アマテラスオオミカミがこのまま岩屋の中に閉じこもってしまうと、地上は大変なことになるでしょう。
アマテラスオオミカミ連れ出し作戦!
神々は相談し合い、その結果、知恵の神様であるオモイカネノカミの案に従うことにしました。
岩屋の前でお祭り騒ぎをし、アマテラスオオミカミが気になって顔を出した時に、連れ出すという作戦でした。
岩屋の前に祭壇がつくられ、天界一の力持ちのアメノタヂカラオノカミが岩屋の戸の横に立つと、天界一のおどりの名人アメノウズメノミコトが腰をくねらせつつ、美しくもあやしげな踊りを始めました。
胸はあらわになり、腰にまとった衣も今にも落ちそうな踊りを踊り、高天原の神々たちは、その面白さにドッと笑いました。
このとき、岩屋の戸が少し開いたのです。
笑い声を聞いたアマテラスオオミカミが、気になって外を見ようとしたのです。
その時すぐさまアメノタヂカラオノカミが岩屋の戸をこじ開け、アマテラスオオミカミを岩屋の中から引っ張り出しました。
こうして地上に光が戻り、わざわいもおさまったのです。