私たちが暮らしているこの宇宙は、約137憶年前にひとつの点から生まれました。
宇宙が生まれた直後に、急激に宇宙が膨張し(インフレーション現象という)、その後ビッグバンという大爆発を起こし、高温高密度のものから膨張し冷却されたものが現在の宇宙です。
ビッグバンの「無」から「有」への成長とは
しかし、ビッグバンによって、ひとつの点である「無」のものから、現在の宇宙のような膨大なエネルギーである「有」が生成されるような事が本当にあるのでしょうか。
一般的な理論では、現在の宇宙が誕生したという原点である超高温高密度の点とは、「時空特異点」という、いわゆる「ブラックホール」の特異点と同様のものと考えられています。
それがどのように生まれたかは現在の科学では解明されていません。
しかし、「時空特異点」が突然宇宙に現れたのではなく、むしろ逆の考えにより、宇宙が「時空特異点」の中で始まったのではないかという説もあります。
言い換えると、ブラックホールと同様の特異点から宇宙が大爆発して始まったのではないかという考えです。
もしも、ビッグバンが本当に起きたのだとしたら、何もなかった宇宙からどうやって今の宇宙が生まれたのでしょうか。
ビッグバンを起こさせたエネルギーはとてつもない大きさです。
そのとてつもない大きさのエネルギーは何処から来たのでしょうか。
「無から有」が生じるなんてあり得るのでしょうか。
エネルギー保存の法則によると、あり得ません。
なぜそのような事が起こったのでしょうか。
ビッグバンにおける量子力学
量子力学では、「素粒子などのミクロな世界では、粒子は波の性質も同時に合わせ持ち、その位置は確率的にしか決まらない」といいます。
言い換えると、人間が観測できないようなミクロの世界では、物理法則は成り立たず、物事は「重ね合わせの状態」から、確率的に決まるというのです。
それを「不確定性原理」と呼んでいます。
それに対して、人間が観測できるような大きさのマクロな世界では、常に物理法則が成り立っています。
「全てのものが確率的にしか決まらない」量子力学によれば、「何も無い」はずの空間にさえ、「何かある」確率が、わずかに存在していることになるのです。
宇宙が創生する前の「何も無い」はずの空間において、量子力学でいうわずかな確率からこの宇宙に粒子が誕生し、その結果、現在の私たちの宇宙が形成されたという事です。
そして、謎の多いブラックホールの特異点を解明する事が、私たちの宇宙の謎を解明するカギとなるのです。